ステファニア・ディ・ペトリロ

シャンデリアへの回帰
19世紀中頃からシャンデリアのスペシャリストであり続けるサンルイ。伝統的なシャンデリアから、新しいプロダクトへと進化させるためにサンルイが選んだコラボレーションの相手は、いたずら好きで好奇心旺盛なステファニア・ディ・ペトリロでした。彼女は伝統的なシャンデリアのアームからインスピレーションを得て、〈トルサード〉コレクションの光を生み出したのです。

長く続くコラボレーション

Lustre Folia
イタリア・パルマ出身のステファニア・ディ・ペトリロは、そのユニークな感性と独創的な視点で、パリをホームとして活躍するデザイナー。彼女は常に、シックななかに遊び心と軽やかさを併せもつクリエイションを作り出してきました。

エルメスのクリエイティブ・ラボラトリー「Petit h」の立ち上げに貢献し、コメディ・フランセーズのために一連のオブジェを考案した、サンルイの古くからのパートナーであるステファニア。彼女は2011年、〈アポロ〉コレクションのグラスを逆さまにして、魅力的なクリスタルのランプシェード、ボーティブランプ、テーブルランプ、現代的なシャンデリアへと生まれ変わらせます。そして〈Torsade(トルサード)〉では、日用品を再考、再解釈することで主役の座を与えることに成功しました。

「アーム」から「光源」へ

「ごく普通のものを目立たせるのが好きなの。数年前、傷んだシャンデリアのアームを壁に吊るしてそこにロープを通して飾っていたことがあるのだけど、この花輪のアイデアは私の中にずっと残っていました。〈トルサード〉の構想を練り始めたとき、このロープを光の帯に置き換えたらどうだろうという考えが閃いたんです。もともとランプを支えるためにあったアームを、光そのものに変身させることで、その機能を変えたいと思いました」と、ステファニア・ディ・ペトリロは言います。

彼女の発想を形にするため、デザイナーはループ型とU字型の2つの形からなるランプ・コレクションを考案。エレガントなカーブを描くこの2つの形から、ペンダントライト、テーブルライト、ウォールライト、シャンデリア(調光機能付き)などの10モデルが誕生しました。

1灯のランプから18灯のコンビネーションまで、〈トルサード〉コレクションは普遍的なシリーズ作品と独創的なピースの中間に位置し、さまざまな空間を飾り、照らすことができる多様性を備えています。〈トルサード〉はクリスタル・シャンデリアという言葉を再定義することで、時を止めた光の動きのようなミニマルさと、彫刻的なレース細工を思わせるモニュメンタル(記念碑的)な性格を併せもつ存在となっているのです。

またステファニア・ディ・ペトリロは〈トルサード〉において、伝統的なガラス製造の職人技にも敬意を表しています。

シャンデリアのクリスタル・アームは一見デコラティブであるものの、長らく支柱としての役割を担ってきました。もともとは中空構造でキャンドルを支えるためのものだったのが、やがてケーブルを通すために改良されていきました。

このアームを作るためには、ガラス職人たちが2人1組になって溶けたガラスを扱います。まだ熱いシリンダーにねじれの形をプリントして、適切な温度になったら回転させながら引き伸ばすのです。その後鉄製のキャプスタンにアームを巻きつけて形を整え、ボリュームを保ったまま冷却していきます。ホットワークの工房ならではのチームワークと、炉から溶けたクリスタルを取り出し成形する職人技。ねじれのついたアームは、この技術の高さを示すもの。サンルイのガラス製造技術は、ユネスコの無形文化遺産に登録されたばかりです。

ステファニア・ディ・ペトリロは〈トルサード〉を開発するために、アーム内部に何千ものLEDを装着させ、クリスタルの光を回折させる技術を利用しました。「新しい光源や素材の専門家と関係を築くことは、私たちの仕事の大きな財産のひとつです」と照明部門の責任者、ジャン=フランソワ・ラヴォーは言います。サンルイは常に、革新的な技術を取り入れることで、専門知識を更新し、充実させてきました。〈トルサード〉もその例に漏れず、卓越した技術とLEDの専門技術とを融合させています。それ故に、ロイヤル・コレクションのクラシックなシャンデリアと〈フォリア〉コレクションの現代的な灯りとをつなぐ、完璧な存在となり得るのです。